500文字創作作文: お題「ガスコンロ」
もしガスコンロを文字って「ガンスコロ」という名前の殺し屋がいたら、西部劇の人情派の殺し屋だと思う。
名前の雰囲気からして、現代の殺し屋はなんとなくありえない。古き良き西部劇ワールドに存在すべきだ。名前と苗字はどこで区切ってもいいが、「ガン スコロ」でも、「ガンス コロ」でも、後半部分が間延びしている。きっと眉毛が太くて、たれ目で、あんましプライドとかこだわんないけど、大事な信念はまげねぇぜみたいな殺し屋なんだと思う。
因みに、文字通り「ガスコンロ」という名前の殺し屋がいたとしたら、それはそれでかなり恐怖だ。FBIが追っても追っても尻尾が出ない完ぺきな仕事人って感じになるはずだ。
そもそもガスコンロなんて名前、世間をなめくさっているとしか思えない。
でも、逆にそんな名前だから、よっぽど自分に自信がないと通り名にできないし、勝手につけられたあだ名だったとしても気になるはず。
きっとFBIの担当捜査官が、帰宅してキッチンで夕飯を温めてくれる妻とコンロを見て、改めて凹んじゃうくらいの凄腕だろう。
500文字創作作文: お題「カーテン」
私のカーテンの歴史は浅い。社会人になって一人暮らしをしたとき、初めて人生にカーテンレールが登場したくらいだ。
カーテンに対する知識もめちゃめちゃ薄かった。会社からカーテンが支給されると言われて適当に返答していたら、窓の高さよりかなり長い、ラブホっぽいピンク色のカーテンを受け取る結果になった。
小学校何年かの時に、遠足の日が雨予報であることが分かった。本気で晴れてほしいので、広告の裏に晴れにしてくださいとマジックで手紙を書き、わざわざ空からでも読んでもらえるように窓ガラスに貼って1週間願い続けた。ついでに、巨大なテルテル坊主も3個、無理やり窓に貼り付けた。
後にその窓が外からでもきれいに見える場所を見つけた。お隣の家のインターホンの前。
幼い私はお隣家族はもちろん、新聞配達、宅配便の人すべてに私の遠足にかける熱意が筒抜けだったことを理解した。
その時私の人生にまだカーテンは登場していなかったが、ガラス窓に対する知識は、確実に蓄えられた。
映画「おもひでぽろぽろ」いまさらネタバレ感想
名台詞は「曇りの日」だけじゃなかった!「握手だけ?」憎いぞ、コノヤロー!
おもひでぽろぽろ(英題:ONLY YESTERDAY)
こんにちは、出会いがしらにハイタッチ、白湯です。
スタジオジブリの名作「おもひでぽろぽろ」を、山形に頻繁に出張に行く友人が見たことがない。それは損してる(何が?)、と半ば強引に映画大会を開催しました。
この映画、未見の方は恐らく少ないと思うので、今回はネタバレありの感想を書いちゃいます。
27歳のタエコちゃんを懐かしく思える年齢に達して、改めて本作を見た今回、新たな凄さ発見しました。
まず、ナナコ姉ちゃん(岡島家の長女)の旦那である、カズオの存在感。
「誰?」ってなりますよね。本人の登場シーンもなければ、声の出演もないのに、東京でも山形でも会話の中に「カズオ」が登場することに気付きました。カズオがいなければ、知り合うことのなかった人たちの物語ですからね。
上京して所帯を持った彼、一族の中では恐らく異色であろう彼。トシオに慕われ、本家からはもう戻ってこないだろうと諦められているところも、ものすごい現実味をもったキャラクターでした。
アニメ映画で、こういう細やかさでキャラクターを作り上げるって、すごいなと。
(↑やっぱトシオには「タエコさん」って呼んでほしい。。。)
次にタエコ、全編通して面倒くさい。
しかし、このタエコの面倒くささのお陰で、「曇りの日」、「おんなじだ!」に代わる名台詞を発見しました。
「握手だけ?」
これですよ。
タエコが一番面倒くさかったのが、終盤本家を飛び出したとき。トシオ目線で見たら結構めちゃくちゃじゃなかったですか。事情も一切話さずに、雨の中田舎の1本道にたたずんで、やっと口を開いたと思ったら、「小5の時のアベくんが・・・」ですよ。トシオも母ちゃんの漬物、とか言ってる場合じゃない。
でも最後まで話を聞き、自分の意見を言い、ややこしいタエコに最後に「握手だけ?」と言わしめたトシオ。どんな育ち方したらそんなできた人間になれるんだ!と、個人的にトシオ塾に入門して、自分のややこしさを改善したくなりましたよ。
色々つらつら書きましたけど、ジブリ作品ってどんな年齢で鑑賞してもその時々に面白さが発見できるところが、大きな魅力ですよね。特に本作は初見(小学生でした)で魅力不明カテゴリーに分類したので、後に面白さに気付けるようになってえがったっす。
Netflix映画「ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから」感想
新たな青春映画の金字塔!
ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから (原題:THE HALF OF IT)
こんにちは、文庫版の漫画は読みづらい、白湯です。
Netflix映画「ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから」、いや来ました、佳作!!見終わった後の胸の内に広がる瑞々しさがなんとも心地いい。(水分量を少女漫画で例えると、ときめきトゥナイトの蘭世のここ一番の涙目くらい!)
中国からの移民2世であるエリー・チュー(声もいいんです、リーア・ルイス)は父親と二人暮らしの高校生。クラスメイトの幼稚なイジメにあいながらも、頭脳明晰な彼女は宿題の代筆で小遣い稼ぎ。
ある日アメフト部のポール(平成のいい奴代表、ダニエル・ディーマー)から、学年一の美女アスター(口角がキュート、アレクシス・レミール)へのラブレターの代筆を依頼される。エリーはラブレターが代筆だと見破られぬよう、ポールの男をあげようと特訓していくが・・・
16年ぶりの新作、女性監督アリス・ウーの作り出す世界観がとにかく素晴らしい。エリー、ポール、アスター、それぞれの交流を通して、少しずつ自己を確立し、胸に秘めた夢に近づいていく過程が丁寧に書かれます。派手さはないにしても確実に展開するヒューマンドラマが、これまでありそうでなかった!
地味な主人公、アメフト部員、美人の3点セットってよくありますよね。 でもエリーは地味だけど、全く暗くはない。夢と妻を亡くし、失意の中で生きる父親を支えながら生活していますが、ほのぼのとしています。その類まれなる知識でポールのための「アスターGET戦略」をガンガン教示していきます。
ポールはアメフト部員ながら、本来の興味はアメフト以外にあるし、アスターもただの美人では全くありません。
これまでの青春映画だと想定されなかったようなキャラクターと展開を、見事に青春映画の枠に収めている。ここが凄い。
余談ですが、エリーのお父さんを演じたのは台湾アクションスター、コリン・チョウ。身体能力の高さは微塵も見せず出番の95%は椅子に座っている、というなんとも贅沢なキャスティングにもご注目ください!
Netflixドラマ「オザークへようこそ」S1感想
麻薬資金洗浄に巻き込まれた家族の崩壊と成長
オザークへようこそ S1 (原題:OZARK)
こんにちは、銭湯大好き白湯です。
Netflixドラマ「オザークへようこそ」S1全10話完走。
メキシコの麻薬カルテルの資金洗浄に手を染めた財務コンサルタントが、妻や二人の子供を巻き込みながら、どんどんと深みにはまっていく物語。俳優、脚本、撮影技法すべてが地味目ながらも超一流のクライムサスペンスでした。
4人家族それぞれが資金洗浄ビジネスのあおりをうけ、緊迫感のある日々を送る。着実に日常生活が崩壊していく中、それぞれが新たな方向で成長していく過程も必見。特に妻ウェンディ役のローラ・リニー、あっぱれの女優魂を見せつけてくれます。
このドラマ、クライムサスペンスの中でも異色だったのが、スピードの緩急の付け方。特に「緩」を大事にするシーンが案外続きます。侮るなかれ、平坦な道をダラダラ歩いているかと思いきや、スキー上級者コースばりの下り坂でした、なんて展開もお手の物です。
資金洗浄という馴染みのないビジネスも、回を重ねるごとに理解が進むようになっているため、数字アレルギーの方もご心配なく。
ただ、ぐろいシーンもかなり多いので、そこだけご注意。
騙されたと思ってぜひとも第一話の視聴を!冒頭からジェットコースター展開ですが、しっかり内容を覚えておけばどんどん伏線が回収されていきます。伏線を回収している間に絶妙にはまっていくのが、このドラマの隠れた中毒性。しびれます。