白湯とPOP

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映画「新解釈 三国志」中毒性の高い独特の娯楽作品

福田雄一ワールド全開、怒涛のオリジナル三国志

 

こんにちは、白湯です。

2020年はエンターテイメントが、新たな局面を迎えた年でもありましたね。難しい1年だったのは間違いないけど、映画も大ヒット作が出たのは、良かったなと思いました。

さてさて、今回はそんな2020年最後の公開、遅れてきた大物感の強い邦画、「新解釈 三国志」について感想を書いていきます。

 

 

◆ストーリー

三国志の「桃園の誓い」から「赤壁の戦い」の史実(?)を新たに解釈しなおした内容を、歴史学者(映画「釣りバカ日誌シリーズ」西田敏行)が講義する形で、シーンが再現されていく。

魏・蜀・呉の三国が中国統一を目指して争っていた乱世において、魏の曹操(映画「罪の声」、小栗旬)蜀の劉備(映画「探偵はBARにいるシリーズ」、大泉洋)、呉の孫権(TV「MIU404」、岡田健史)が、いかにして「赤壁の戦い」に臨んだかが描かれます。

 

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◆まさに「新解釈にもほどがある」、娯楽大作

ストーリーは、確かに三国志。ただし、各主将陣のキャラクターはかなりカジュアルダウンされているし、全体的にすごくしょうもない。まさにオリジナルストーリー。

但し、三国志は、元から誇張された神がかった逸話が多いので、今回の新解釈の方が現実的にありうる線だなとも思えるところもありました。ここは上手いですね。

 

展開も、キャストの会話劇に主軸を置いているので、早いような、遅いような独特のスピード感。結構ストーリーを凝縮して詰め込んでいるので、出演者はめちゃくちゃ多い。そういう意味では、目まぐるしさもありますね。

 

全体的に、難しいことは抜きで笑って楽しめる作品に仕上がっているので、本作のキャッチコピー「2020年、みんながこれを待っていた」は、ピッタリはまる。(撮影は19年春)

 

 

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◆浮かぶ疑問とじわる笑い、締めのにくさ

開始10分後に、まず違和感を覚えました。どうも展開、台詞、演技のすべてが深夜ドラマのようで、「これ、そもそも映画って呼べるのか?」という疑問を持ったからです。特に台詞は独特で、本当にただダラダラ会話しているだけに見えるシーンも多い。

俳優陣が撮影を楽しんでいる様子が、克明に映像に現れるので、舞台裏を見せられすぎているようにも思いました。

 

これは私が福田監督の作り上げる、エンターテインメントに馴染みがなかったのが、一番大きなポイントだったと思う。

逆に言うと、この独特の表現方法が、映画というスケール感に圧倒されることなく、イキイキと映し出されているのは、ある意味凄い。

 

しかも、後半怒涛の展開が一気にきます。少し最初は我慢が必要かもしれないけれども、総合して考えると、チケット代の元はとったなーと思える、エンターテインメントに仕上がっています。

 

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全編通して、このノリ

 

 

おちゃらけの中で光る、俳優陣の演技力

「それ、三国志のストーリーに必要?」と思うシーンが多いのは前述した通りですが、キャスト陣はテンポをキープした、着実な演技を見せてくれます。

意外とこの作風に合わせて、だれない演技を見せるのって難しいと思います。ノリだけで継続される会話もあるので、キャストの演技力が弱いと、シーンが崩壊してしまう危険性もある。

正直、演技力無駄使いな気もするけど、この世界観を作り上げるのに欠かせない要素なのは間違いない。

 

キャラクター設定もありますが、私は個人的に劉備を演じた大泉洋の演技が好きでした。彼のぼやき節全開で、前半は完全に大泉洋そのまんまって感じでしたが、後半は、まぁ、かっこいい。

あと、大泉洋はスタイルがいいので、台詞を除けば、かなりかっこいい劉備だったと思う。

 

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笑いもシリアスも全部載せ 劉備

それから、渡辺直美の起用。おちゃらけているようで、「美」について考えさせられる深いシーンでもありました。彼女の登場シーンは、予告編でもよく使われているので、あとは見てのお楽しみってことで、コメントは控えておきます。

 

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出てきた瞬間、画面をかっさらう女優

 

意外な才能が見えたのが、趙雲を演じた岩田剛典。

趙雲の武器である長槍のアクションシーンに抜群の安定感。長槍は、遠心力がかかるので、恐らくアクションが難しいと思うのですが、とにかく上手い。そうでした、彼はラクロスのいい選手だったって話でしたね。

他のキャストでも長槍を使っている人はいるので、ぜひ比べてみてください。

 

とにかく、キャストが多いので、お気に入りがそれぞれみつけられる楽しみもありますね。

私が観に行ったのは平日のお昼間でしたが、男性はパラパラいるだけで、あとは若い女性陣が殆ど。そうだよね、旬のかっこいい俳優さんも、いっぱい出てるもんね。

 

 

◆ある程度の基礎知識は必要

基本的に知識ZEROでも楽しめるエンターテインメント作品ですが、三国志の知識が多少あった方が、抱腹絶倒の「新解釈」を、より楽しめるはず。時間がある人は、事前に赤壁の戦いをかいたドラマか、映画「レッドクリフ」のPart1、Part2を見ることをお勧めします。

 

三国志のストーリーとしては新解釈なんだろうけど、エンターテインメントとしては新感覚だなーというのが素直な感想。

いずれにしても、この作品は恐らく「ひどい」か「最高」かの両極端な評価しかつかない気がします。ただ、この監督の作り出す世界観と笑い、中毒性ありますね。こりゃ、この監督のファンが周りに多いの分かるわ。勉強になりました!